浮浪者のお兄さん

Caya のお客様はちょっとちがう、と思っています。
だってみなさんすごくおしゃれです。この店に何か感じてくださって
来てくださる方々の持っている感覚のするどさを感じます。

そんな中で、たったひとり変わったお客様がいらっしゃいます。

ある時、私が店を閉めてるのにわざわざ入って来て
「何か食べれる~?」と聞くのです。
「ごめんなさい、今日は特別のお客様がいらしているからダメなんよ。またね」と私が言うと帰っていきました。

ある時

「何か食べれる~?」とまた来たので
「お金持っているの?」と聞くと50円しかない。と言うのです。
「じゃあ、だめやね~、またね」と言うと帰っていきます。

ある時

「パンの耳か、何かない~?」と聞くので
「ないわ~、またね」と言うと帰っていきました。

また別の時
「今度ね、市からお金もらえるんだ~、何か食べに来ていい~?」と聞かれたので、いいよ、と答えたのですが、その時は定休日の日でした。ちょっと気になったけど、来るかどうかわからないおにいさんのために定休日を変更するわけにもいきません。

そんなことを何回も、何回もくりかえし、この間のこと

「今日ねえ~440円持ってるんだけど、コーヒー飲める~?」と来たので
(Cayaのコーヒーは450円だけど)、特別におまけでコーヒーを入れてあげました。初めての入店です。

すっごく、喜んで帰っていったけど、家族に話をしたら、みんな不思議がるのです。

だって、自販機でコーヒーは100円でも飲めるのに、コンビニでおにぎり4個も買えるのに、なんで
440円の有り金を全部はたいて、うちにコーヒー飲みに来たんかな~って。

今日も朝、ふっと見たら入り口のドアの外で手をふっているんです。
今日は入ってきませんでした。

彼は、何を持っているんでしょうか。私たちがそれぞれすばらしい才能にあふれているとしたら、すばらしい直感なんでしょうか?
活かされていないすばらしいもの? それが形になる日が来たらいいのに~と思わざるをえません。