新しい蔵
時代は変わり、蔵は古くなったんで建替えられることになった。
建物はあたらしくなったけんど
見えない道だけは残った。
五平さんと同じようなエネルギーを持った嫁さまが選ばれてやってきたわけやから
嫁さまは、やっぱり蔵にいて
嫁さまに会いにいろんな人がやってくるようになった。
見えない道が導いているのか。
嫁さまのエネルギーにも惹きつけられて人はやってくる。
五平さんはひょっとしたら、見守りながらこう言っているかもしれない。
「なかなかいい嫁が来てくれたもんじゃ、なかなかがんばっておるようじゃ」
ここに来るとみんななぜかほっとする。
で、元気になって帰っていく。
軽くなって帰っていく。
「嫁の由美子はえら~いもんじゃ」
「しかし、無理だけはせんといてもらわな」
五平物語 お し ま い