道にはふたつある。
ふたむかしも前のことさ。
働き者の五平さんが畑で一生懸命働いておったんだけんど
ふと
「おらあ、これから人様を助けていくべ」と決心した。
それはまるで神様から何か頼まれごとをしたようなそんな感じだった。
それから五平さんは村の仕事もするようになって、お金持ちにもなって、家には蔵もたった。
その蔵に、だんだんと人が集まってくるようになった。
「あそこの蔵に行ったら、なんだか身体が楽になったんじゃ」とか
「あそこの蔵に行ったら、なんだか楽しかった~」とか
なんせ人を喜ばせることが好きだった五平さんだったから
相談にのってあげたり、人の話を聞いてあげたり
うわさはうわさを呼んで、ますます人がその蔵に集まるようになったんだと。
蔵は人であふれた。
まるで見えない道があって、その道を通って人がやってくるようじゃった。
でもいつしか時代は変わり、五平さんもいなくなった。蔵だけが残った。
五平さんの子どものそのまた子どもの時代になって
えらくべっぴんで働きものの嫁さまがやってきた。
つづく
(この物語は、ほぼ私の妄想と想像でできあがっております)